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セミリタイアあるいはFIREを目指すアラフィフ独身女のひとりごと

眉山(太宰治)

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眉山

太宰治の「眉山」を青空文庫で。
 
<あらすじ>
戦後間もない新宿で小説家の主人公が常連になっている飲み屋の女の子の話。
 
この女の子はあまり賢くなく、知りたがりでうるさいし、器量も悪い。いいところと言えば辛うじて眉の形が美しいことくらい、ということから主人公とその友人に「眉山」と陰であだ名されている(明治時代の小説家である川上眉山からかも?)。
 
彼女は基本的に不器用でソボク(ヒトの話をすぐに信じる)。主人公らはそんな彼女をネタにしたり、いじったり、時々本気で怒ったり。
 
あるとき、主人公はしばらく間があいた後で(病気療養か何か)、その店へ行こうとする。途中で知り合いに出会い、一緒に行こうと誘うが、その知り合いいわく「眉山はもういない」。
 
眉山は、病気が見つかったため親もとへ返されたそう。
 
その話を聞いて、主人公はもうその飲み屋へは行かなくなる。
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とても短い小説。27ページしかないので、主人公以外の登場人物の細かい描写はない。
 
女の子(二十歳前くらい)のネタにされていたエピソード(貴族はそうするとそそのかされて、立ったままトイレをするとか、階段をドタドタ上り下りするとか)が、トイレが近くなるという病気のせいだったということで、後味が悪くなり、その店へは行かなくなった…というのがラストなのだが、このオチが後味悪かった。
 
別にいいじゃん。いじり & いじられは悪意は感じられなかったし、コミュニケーションのひとつだったんだから。それとも本気が混じっていたから罪悪感のようなものを感じてしまったのかしら。